これだけは知っておきたい!個人事業主のための確定申告の基礎知識

 

 

確定申告はその1年間の所得を計算し、所得税を適正に納税するためにも非常に重要な手続きです。しかし初めて個人事業主として確定申告をするとなると、難しく感じてしまい億劫になってしまう人も少なくないでしょう。本記事では確定申告の基礎的な知識から、どのように手続きを行っていくのかを解説していきます。

 

 

目次

    1.   
    2. 個人事業主は確定申告が必須?何をしたらいいの?
    3. 青色?白色?確定申告には種類がある?
    4. 個人事業主が青色申告をするメリット
    5. 青色申告をするために必要な手順
    6. 個人事業主は確定申告をいつする?最悪しなくても大丈夫?
    7. まとめ

 

 

個人事業主は確定申告が必須?何をしたらいいの?

確定申告は事業によって所得を得ている多くの個人事業主にとって、避けて通ることができません。しかし必ずしも確定申告が必要かと言われると100%その通りではありません。まずは確定申告が必要な場合と、不必要な場合について見てみましょう。

 

個人事業主で確定申告が不必要な場合

個人事業主であっても年間の所得が48万円以下である場合には確定申告の必要はありません。なぜならば所得税には基礎控除(原則すべての人が差し引ける控除)というものがあり、その控除額が48万円であるため、所得が48万円以下であれば課税対象の所得が0円になるからです。 ただし確定申告を行わない場合には、住民税の申告が別途必要になるので注意しましょう。

通常、確定申告をすると国税局・税務署から市区町村へ情報が共有される仕組みになっており、その情報をもとに住民税が計算されます。 確定申告を行っていない場合には市区町村へ情報が共有されませんので、自ら申告をするようにしましょう。なお、所得税が0円であっても住民税は0円ではないので間違えないようにしてください。

所得税と住民税については「個人事業主の所得税はいくらかかる?計算方法から払い方まで完全解説!」、「個人事業主が払わなくてはいけない「住民税」っていくら?計算方法と支払い方法を詳しく解説。」でも解説していますので参考にしてみてください。

 

個人事業主で確定申告が必要な場合

個人事業主として確定申告が必要なのは課税所得が0以下ではない場合です。原則として年間の所得が48万円を超える場合には対象となることがほとんどです。 ただし基礎控除以外にも様々な控除があるため、実際にはもう少し所得が高くなっても不必要な場合があります。しかし前述のとおり結局住民税を申告する必要があるので、年間の所得が明らかに48万円を下回るという場合以外には確定申告をするのが無難と言えます。 また適正な帳簿の作成は、健全な事業運営の観点からも非常に重要なため、年に1度の総決算として確定申告を行うようにしましょう。

 

 

青色?白色?確定申告には種類がある?

確定申告には大きく分けて「白色申告」と「青色申告」の2種類の方法があります。青色申告は白色申告と比較して様々な税制優遇を受けられることが特長です。ただしいくつかの手続きや、条件を満たす必要があり、白色申告よりも少し煩雑であると言えます。 それでは白色申告と青色申告の違いについてそれぞれ説明していきます。

 

確定申告の種類①:白色申告

白色申告は「青色申告を行わない全ての個人事業主」が行う申告方法です。青色申告と比べると提出する帳簿の内容もシンプルで、手間がかからないことが特長です。また青色申告と違い、事前に申請をする必要がなく手間がかからないのもメリットと言えるでしょう。

■白色申告に必要な書類

(1)確定申告書

(2)収支内訳書

(3)控除に関する書類

(4)マイナンバーに関する書類

 

確定申告の種類②:青色申告

青色申告は前述のとおり様々な税制の優遇を受けることができますが、事前に管轄の税務署に「所得税の青色申告承認申請書」を提出し、税務署長からの承認を受けなければなりません。 これに加えて損益計算書、貸借対照表といった決算書を作成して提出する必要があり、手続き、書類作成の両面で白色申告と比べて大幅な手間がかかってしまいます。

■青色申告に必要な書類

(1)確定申告書

(2)青色申告決算書   ・損益計算書 ・「売上」「仕入」に関する内訳書 ・減価償却に関する内訳書 ・貸借対照表

(3)控除に関する書類

(4)マイナンバーに関する書類

 

 

個人事業主が青色申告をするメリット

青色申告は白色申告と比べて手間がかかるため、面倒だから白色申告で良いのではないかと思われるかもしれません。個人事業主は自分でやらなければならないことも多く、手間を削減したいというのが本音だと思います。 そこでここからは青色申告の具体的なメリットを解説していきます。ご自身にとって手間をかけるべきか否か、判断材料にしてみてください。

 

メリット①:青色申告特別控除が受けられる

青色申告特別控除は最大65万円の控除を受けられる制度です。控除を受けることで課税所得が減るため、大幅な節税効果が期待できます。 条件としては複式簿記で記帳するなどの条件をみたすことで55万円が控除され、さらにe-taxでの申請または電子帳簿保存法に準拠した方法での帳簿保存を行うことで10万円の控除が加算されます。 一見、面倒な作業に思われるかもしれませんが、近年では様々な会計ソフトで簡単に複式簿記での記帳が可能となっています。またe-taxでの申請も国税庁の「確定申告書等作成コーナー」で詳しく説明されており、最低限パソコンが使える方であればそこまで難しい作業ではありません。

 

メリット②:赤字の繰り越しができる

もしも事業で赤字を出してしまった場合、3年間赤字を繰越すことが可能になります。向こう3年間の黒字と相殺できるため、節税効果が期待できます。 またその逆に前年の黒字と相殺する繰り戻し還付も可能。残念ながら赤字を出してしまった際に、少しでもダメージを減らすことができるので、とてもありがたい制度と言うことができます。

 

メリット③:青色事業専従者給与を適用できる

通常、個人事業主が生計を同じくする家族に給与を支払った場合、その給与は経費として計上できません。しかし「青色事業専従者給与に関する届出書」を提出することで支払った給与を経費として計上することができます。

 

メリット④:少額減価償却の特例が適用できる

建物や車、パソコン機器などの資産は、通常10万円以上の場合には減価償却資産として扱われ、既定の耐用年数に従って複数年にわたって経費計上されます。しかし青色申告を行っている個人事業主は30万円未満の資産に関しては取得年度に一括計上できる「少額減価償却の特例」が適用できます。 年間で300万円の上限が設定されていますが、これも大きな節税効果が期待できます。

 

 

青色申告をするために必要な手順

青色申告は手間がかかる反面、税金面でおおきなメリットがあることが分かったと思います。ここからは肝心の青色申告をするために何が必要なのか。その手順について解説します。

 

①開業届を提出する

大前提として事業を行う上で、開業届の提出は必須です。開業届は事業を開始した日から1か月以内に所轄の税務署に届け出る必要がありますが、実は事業の準備にばかり気を取られてしまい忘れてしまう人もいるようです。 これは青色白色に関わらず、必ず必要な手順ですので、もしも未提出の場合には速やかに提出するようにしましょう。

 

②青色申告承認申請書を提出する

前項でも記載した通り、青色申告承認申請書を所轄の税務署に提出します。ただし提出には期限があるので注意が必要です。

 

■青色申告承認申請書の提出期限

(1)新しく事業を始める場合:開業日から2か月以内

【例】4月1日から事業を開始した場合→5月末日までに提出

(2)既に開業している場合:青色申告を適用する年の3月15日まで

【例】2023年1月~2023年12月分の確定申告を青色申告する場合→2023年3月15日までに提出 青色申告承認申請書の提出期限が過ぎてしまうと、翌年以降にしか青色申告ができません。そのため開業届と一緒に提出することがおすすめです。

 

③確定申告書を提出する

確定申告書を作成し、所轄の税務署に提出します。持ち込み、郵送、e-taxでの提出が可能ですが、青色申告特別控除を最大限受けるためにe-taxを使用するのがおすすめです。ぜひ一度挑戦してみてください。

 

 

個人事業主は確定申告をいつする?最悪しなくても大丈夫?

 

 

個人事業主は1月1日~12月31日までの所得を、原則翌年の2月16日~3月15日の間に確定申告します。この期間は全員共通で、事業開始日や期間によって変動することはありません。 個人事業主にありがちなミスとして期間ギリギリまで用意をしておらず、うっかり期限を過ぎてしまうという事が挙げられます。その場合、今年は確定申告をしなくても良い。という事にはなりません。 もしも確定申告をしなかったり、遅れてしまった場合にはペナルティが課されます。具体的な内容についてみてみましょう。

 

①無申告加算税

これはその名の通り、一定の所得があるにもかかわらず確定申告をしなかった場合に課されるペナルティです。本来納付するべき金額に税率をかけて計算されます。税率は50万円までの部分は15%、50万円を超える部分には20%がかかります。 ただし、税務署からの指摘を受ける前に自主的に申告をした場合には、税率は5%になります。万が一、うっかり期限を過ぎてしまった場合には速やかに申告するようにしましょう。

 

②延滞税

延滞税は確定申告漏れではなく、所得税の納税期限を超過した場合に課されます。所得税は原則として申告と納付の期限が同じ日に設定されるため、確定申告をしていない場合には自動的に納税期限も超過したことになります。 延滞税は納税期限の翌日から発生し、最大で14.6%の税率が加算されます。超過日数が多ければ多いほど税率が上がっていくので速やかに納付するようにしましょう。

 

③青色申告特別控除の金額が減る

55万円~65万円の青色申告特別控除を受けるためには期限内の申告が必須要件です。そのため確定申告漏れがあった場合、青色申告特別控除は10万円分しか受けられなくなり、課税所得が増えるため、納税額が高くなります。 また申告書を作成していたけど出し忘れた。という場合には申告書の修正も必要なため、さらに大きな手間がかかるため注意が必要です。

 

④重加算税

重加算税は確定申告における最も重いペナルティで、その税率は35~40%です。これは内容が悪質な場合に適用され、帳簿の改ざんや隠ぺいが該当します。

 

 

まとめ

個人事業主にとって確定申告は一大イベントです。本業とは違うタスクであるため、どうしても億劫になってしまいがちですが極めて重要なタスクであり、ペナルティも少なくありません。軽い気持ちで放置しないように気を付けましょう。 また経理業務を年末にまとめて処理をするのではなく、週次、月次でこまめに処理をすることでスムーズな確定申告ができるようになります。また細かく会計の流れを把握することで事業をより円滑に進める助けにもなります。 デメリットに目を向けるのではなく、節税や事業推進に活用するというメリットの部分に目を向けて確定申告を行ってみてください。

 

 

 

 

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