個人事業主の所得税はどうしたら良い?計算方法から払い方まで完全解説!

 

 

 

目次

    1.   
    2. そもそも所得税とは?
    3. 個人事業主の所得税はいくらかかる?
    4. 個人事業主の所得税額の計算方法
    5. 個人事業主の所得税はいつ払う?
    6. 個人事業主の所得税はどうやって払う?
    7. まとめ

 

 

そもそも所得税とは?

所得税は個人事業主が納めなくてはならない国税で、1月~12月までの1年間に得た所得額に応じて金額が決定します。また所得額が高くなればなるほど税率が上がっていく累進課税方式を採っており、一律ではないため、計算するときには注意が必要です。 個人事業主が納めなくてはいけない税金として所得税以外に消費税、住民税、個人事業税が挙げられますが、今回は所得税について解説していきます。

 

 

個人事業主の所得税はいくらかかる?

個人事業主の所得税は前項でも触れたように、1年間の所得に応じて計算されます。 一般的に会社員の場合は源泉徴収税として会社が計算して納付してくれますが、個人事業主の場合は自ら計算して納付する必要があります。会社員から個人事業主として開業すると仕組みの違いに面食らってしまうかもしれませんが、きっちりと理解を深めて正確な所得税額を計算できるようにしましょう。 [所得税の計算方法] 課税所得の金額 × 所得税率 - 控除額 所得税額は上記の計算式に当てはめて算出することができます。しかしそれぞれの項目がわからないという方 や、自信がないという方もいらっしゃる事と思います。所得税を正確に計算するために、まずは各項目について 見てみましょう。

 

課税所得

課税所得は1月~12月に得た所得の中で、課税の対象になる分を指します。具体的には収入から必要経費と、国が定める所得控除の分を引いた金額が課税所得となります。下記に計算式を記載します。 [課税所得の計算方法] 課税所得の金額 = 収入 - 経費- 所得控除 このように課税所得は収入から経費だけでなく所得控除分を引くことが可能です。所得控除は扶養家族の有無や、医療費など、各納税者の個人的事情を考慮した制度で、要件に当てはまる場合に対象となります。 課税所得の金額を少なくすることができるので、個人事業主にとっては無視できない制度といえるでしょう。 所得控除の対象となるのは下記の通りです。

 

[所得控除]

所得控除の種類控除を受けられる要件
雑損控除災害または盗難もしくは横領によって、生活に必要とされる資産に損害を受けた場合。
医療費控除1月~12月の間に本人または生計を共にする配偶者、親族のために支払った医療費が一定額を超える場合。
セルフメディケーション税制一般用医薬品等購入費の合計額のうち、12,000円を超える場合(12,000円を超えた部分が対象。88,000円を限度とする。一定の健康診査や予防接種などを行っている事が条件。医療費控除との併用は不可。令和8年12月31日までの時限措置。)
社会保険料控除社会保険料の支払いがある場合
小規模企業共済等掛金控除小規模企業共済法に規定された共済契約に基づく掛金等を支払った場合
生命保険料控除生命保険料、介護医療保険料および個人年金保険料を支払った場合
地震保険料控除特定の損害保険契約等に係る地震等損害部分の保険料または掛金を支払った場合
寄附金控除国や地方公共団体、特定公益増進法人などに対し特定寄附金を支出した場合(ふるさと納税など)
障害者控除本人、同一生計配偶者または扶養親族が所得税法上の障害者に当てはまる場合
寡婦控除寡婦である場合
ひとり親控除ひとり親である場合
勤労学生控除本人が勤労学生である場合
配偶者控除本人の合計所得金額が1000万円以下で、同一生計配偶者の合計所得金額が48万円以下(給与のみの場合は給与収入が103万円以下)の場合
配偶者特別控除本人の合計所得金額が1000万円以下で、同一生計配偶者の合計所得金額が48万円超133万円以下の場合
扶養控除所得税法上の控除対象扶養親族となる人がいる場合
基礎控除

納税者本人の合計所得金額が2500万円以下の場合

2,400万円以下:48万円

2,400万円超2,450万円以下:32万円

2,450万円超2,500万円以下:16万円

このように様々な控除があることがわかります。ご自身の状況を見直して、適用される控除を受けることで節税にもつながります。見逃してしまうケースも多いので、この機会にぜひとも見直してみてください。 これで所得税の計算の基礎になる「課税所得」が算出できたと思います。それでは次に所得税率と控除額について説明します。

 

所得税率と控除額

次に所得税率です。所得税率は累進課税方式が採用されていて、所得の範囲に応じて税率と控除額が決まっています。所得が変われば税率と控除額も変わるので、毎年、ずっと同じという事ではないので注意が必要です。 下記の速算表に照らし合わせて、ご自身の税率と控除額が分かればあと一歩です。

 

[所得税の速算表]

課税される所得金額税率控除額
1000円~194万9000円5%0円
195万円~329万9000円10%9万7500円
330万円~694万9000円20%42万7500円
695万円~899万9000円23%63万6000円
900万円~1799万9000円33%153万6000円
1800万円~3999万9000円40%279万6000円
4000万円 以上45%479万6000円

※1000円未満の端数を切り捨ててから税率をかけます

 

青色申告特別控除

ここまでの解説で、既に所得税の計算ができるようになっていると思います。しかし最後に忘れてはいけないのが「青色申告特別控除」です。 確定申告には大きく白色と青色がありますが、青色申告でかつ複式簿記で記帳して確定申告をすると、最大で65万円の特別控除が受けることができます。 実は個人事業主の方でも、制度が良くわからないまま白色で確定申告をされていたりするケースもあります。非常に控除額も大きな制度なので、ぜひご自身の状況と照らし合わせて活用を検討してみてください。

 

 

個人事業主の所得税額の計算方法

 

 

ここからは具体的な所得税額の計算について、各事例を見てみましょう。

[収入500万円、経費200万円の場合]

※所得控除は基礎控除のみの場合

課税所得 = 500万円 - 200万円(経費) - 48万円(所得控除) = 252万円

所得税 = 252万円 × 10% - 9万7500円 = 15万4500円

 

[収入1000万円、経費200万円の場合]

※所得控除は基礎控除のみの場合

課税所得 = 1000万円 - 200万円(経費) - 48万円(所得控除) = 752万円

所得税 = 752万円 × 23% - 63万6000円 = 109万3600円

 

[収入1200万円、経費400万円の場合]

※所得控除は基礎控除のみ、青色申告特別控除を最大で受けられる場合

課税所得 = 1200万円 - 400万円(経費) - 48万円(所得控除) - 65万円(青色申告特別控除) = 687万円

所得税 = 687万円 × 20% - 42万7500円 = 94万6500円

 

 

個人事業主の所得税はいつ払う?

個人事業主の所得税は、確定申告の提出期限までに支払う必要があります。1月~12月までの所得に応じて所得税額が決まるため、必然的に対象年度の翌年1月1日~3月15日(諸事情によって日付がずれる場合があるので国税庁のホームページ等で確認してください)の間に支払うことになるでしょう。 住民税や個人事業税とは違い、自宅や事業所に納付書や通知が届くことはありませんので、払い忘れがないように注意が必要です。

 

 

個人事業主の所得税はどうやって払う?

個人事業主が所得税を払う方法は主に4つです。ご自身の都合が良い払い方を選択して、期限までに確実に支払いをしましょう。

 

現金(納付書を使用する)

現金で支払いをする場合、税務署または所定の金融機関に用意されている納付書に必要事項を記載し、窓口で支払うことができます。 また30万円以下であればコンビニでの支払いが可能です。税務署でコンビニ納付用の納付書を発行してもらうか、パソコンからQRコードを生成してコンビニの端末で納付書を発行します。発行された納付書はレジで支払うことができます。 ただし、現時点ではローソン・ナチュラルローソン・ミニストップの「Loppi」端末設置店舗かファミリーマートの「マルチコピー機」端末設置店舗に限るようです。

 

クレジットカード

「国税クレジットカードお支払サイト(運営者:トヨタファイナンス株式会社)」からクレジットカードで納付することができます。非常にお手軽な方法であることに加え、支払日はカードの契約によりますので、多くの場合1か月程度先の支払いになるのがメリットです。 一方で決済金額に応じて手数料がかかることや、納税証明書の発行に時間がかかること、領収書がでないという点には注意が必要です。

 

口座振替

口座振替は対応可能な金融機関で「預金口座振替依頼書兼納付書送付依頼書」を提出することで利用が可能です。一度手続きをしておくと翌年以降も自動で振替が行われ、払い忘れを防ぐことができます。 また手数料も無料で、支払い期日を過ぎてから引き落としになることが多いため余裕ができるのもメリットです。 一方でメリットとして、領収書が発行されないことや、残高不足の場合に延滞税が課される可能性がある点が挙げられます。

 

電子納税

電子納税はe-Taxのシステムを利用して納付します。e-Taxのホームページから所定の手続きを行い、届出済みの口座から納付するか、納付区分番号通知を発行してATMやインターネットバンキングで納付します。 24時間手続きが可能なため、非常に利便性が高く、手数料もかかりません。 しかしe-Tax自体の使い方に慣れるまでは、少々使い勝手が悪いかもしれません。

 

 

まとめ

今回は個人事業主が払う所得税の計算方法から支払い方までを解説しました。所得税の納付は個人事業主の義務であり、正確に計算して、確実に納付することが求められます。一方で必要以上に納める必要はありませんので、適切な計算方法で、控除などは最大限活用していきましょう。 また所得税はその性質上、翌年にまとめて納める必要があります。そのためいくら納付する必要があるのかを見極めて、プランニングしておくように注意しましょう

 

 

 

 

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